La passion de Simone
『シモーヌの受難』
この作品は、もともと
オラトリオとして書かれた。
カイヤ・サーリアホ作曲
アミン・マアルーフ脚本
シモーヌという女性。
1909年生まれ、1943年亡くなる。
ユダヤ人であり、女性であった
当時の彼女の生きる道は、
あまりにも、想像できぬ
苦しみ、憎悪があったに違いない。
シモーヌは、その運命を
受け止め、更に自らの
原動力へと換えるという
誰もが避けて通ろうとする
道を生きることを選んだ。
彼女の生きた道、生き様は、
後世に光となって輝きを
残し続けている。
彼女は34歳という若さで
この世を去っている。
何故、死んでしまったのか。
脚本家であるマアルーフが、
彼女の生きた道を辿りながら
その答えを探そうとする。
そこに、サーリアホが作曲。
サーリアホ自身も、シモーヌの
数々の遺作から影響を受けた。
2013年にサーリアホは、
自身の子供たちのために、
室内楽版をつくる。
サーリアホの息子は
演出家としてこの
室内楽版『シモーヌの受難』に
演出をつけた。
La chambre aux echosという
ラ・シャンブル・オ・ゼコと読むが
サーリアホの息子と
その友人らで立ち上げられた
この団体は、2013年から
フランス国内、ヨーロッパ各地で
この室内楽版『シモーヌの受難』を公演している。
この室内楽版の登場人物は、
ソプラノソロ、
ソプラノ、メゾ、テノール、バリトンの
4人のコーラス
そして、語り手という
6人である。
ソロやコーラスに
特別に役名はない。
今年の6月には、
ニューヨークで
別の団体が室内楽版で
初演を果たした。
私たちは、その次に続く
第二弾として、
ニューヨークで
来月、公演が予定されている。
私は、ラ・シャンブル・オ・ゼコ
という名前がまだ無かった2009年の
初期から、ともに仕事をしている縁で、
シモーヌの受難は、
2014年のクレルモン・フェラン
というフランスの真ん中にある
街での公演から携わっている。
2016年1月にはデンマーク初演歌った。
そして、来月のニューヨーク公演、
更に、来年の5月にはノルウェー公演で
この作品を歌うこととなっている。
シモーヌの求めたすべては
誰もが求める魂の欲求であり、
誰もが手にすべき、真理なのだ。
ただし、ひな鳥のように
口をあけているだけでは
到底味わえるものではない。
自らが行動を起こし、
求めようとしたその過程こそに
答えがある。
シモーヌが死んでしまったことは
たしかに、非常に残念である。
キリストは言った。
『主よ、何故私を見捨てたのですか』
どの魂も、孤独であり
楽な道も、過酷な道も
生き行く先は同じなのか。
La passion de Simone
Sayuri ARAIDA HP
Twitter
Facebook