2014/11/16

La Passion de Simoneを終えて

新しいブログに来てくださった皆様、
ありがとうございます。

こんにちは、オペラ歌手のSayuriです。

2014年11月14日に、
パリから電車で三時間半と離れた
Clermont-Ferrandという街にある、
Jean-Cocteau劇場での本番を終えました。

演目は、オラトリオ
『La Passion de Simone』
で、一時間の演奏に演出が加わり、
オペラのように、演技をしながら
歌うという本番でした。


私は、演技が大好きで、
歌うのも好きなので、自然とオペラの道を
歩いてきましたが、
一時間、どこにもはけることなく、
舞台の上で演技を続けるというのは、

想像していた以上に体力を消耗しました。

終演後は、頭痛と筋肉痛で、満身創痍。

しかし、そのときの達成感の快感は、
あまりにも幸せな瞬間です。


この瞬間のために、日々、不安と戦い続けてきたと思います。


本番を迎える前の、舞台袖での
武者震いと、緊張感も大好きですが、

舞台にひとたび、出て、
観衆を前に、エネルギーが一気に解放されるときも
好きです。

その時は、もう何も考えず、
空気と溶け合って、舞台に立ちます。

そして、静かに暗転する瞬間、

沈黙。

ほどなく、どこからともなく
拍手が静かに鳴り出す瞬間も
好きです。

そして、舞台袖での共演者とのハグ、
スタッフからのブラボーと言う喝采も

何もかもが好きで、
今までの、本番を迎える前までに
感じ、拭いきることはできない不安は、

一気に、この瞬間のためだったのだと
解決します。

楽譜を、どんなに頭に入れても入れても
不安で、ギリギリまで、音楽と向き合い
それでも、不安で不安で不安で。


あの不安があるからこそ、努力をやめずにいられますが、
努力しても何も見えない暗闇の中を歩いているようで、
本当に怖かったです。


無事に、成功に終わることが出来て
思うのは、見えない不安も、見えない努力も、

真剣だからこそ、成り立つものだと思います。

La Passion de Simoneに参加できて
本当に良かったです。

指揮者も演出家も私を心から愛してくれました。
素敵な共演者に恵まれて、私は本当に幸せ者です。


そして、この成功の陰にある最も支えてくれた
家族、とりわけ主人に、心から感謝をこめて。

ありがとうございました。

日々、精進して参ります。